先日のコラムでは、2026年2月16日日経朝刊の「生成AI、法務で活用76%」という記事をもとに、AIは便利だけれど依存しすぎるのは危険、という話を書きました。
本日は、同じ記事で触れられていた「AIガバナンス」について考えてみます。
AIガバナンスというと、コーポレートガバナンスと同じく「なんだかとっつきにくい言葉だな…」というのが正直な感想ですが、要はAI利用に関するルール整備のことです。
難しく考える前に、まずは汎用的な生成AIの利用規約やプライバシーポリシーに何が書いてあるか、確認してみませんか。

規約に書かれていること
実際にある生成AIサービスの規約類を確認したところ、以下の内容が含まれていました。おそらく他の生成AIでも同様の内容と思われます。
①入出力情報を収集する
②その情報は海外に保管され、完全に削除される保証はない
③その情報はサービス運営上・法令上の第三者開示、およびサービス改善・モデル学習に使われる可能性がある
営業秘密や個人情報を生成AIに入力するのは避けたほうがよい――これは感覚的に実践されている方も多いと思います。しかし、②や③の事情を具体的に把握している方は、意外と少ないのではないでしょうか。
見落とされがちな「入力に関する保証」
さらに注目したいのが、以下の条項です。
④ユーザーは本サービスへの入力を送信するために必要なすべての権利および許可を有していることを表明し、保証する
これはあまり意識されないかもしれませんが、実は重要なポイントです。
たとえば、他社に著作権が帰属するコンテンツを入力し、その生成内容がさらに別の第三者の権利を侵害してしまった場合。この場合、生成AIサービス提供企業からのサポートや補償を受けられる可能性はほぼゼロになります。
逆に言えば、正当な権利を持つ情報を入力した上での利用であれば、生成内容が第三者の権利を侵害した場合にサービス提供企業による防御や補償の余地がある、という内容も規約に含まれていました。
機密情報でなければ何でも入力してよいわけではない。この点は意識しておく必要があります。
AIガバナンスの第一歩は「何を入力しないか」を決めること
AIガバナンスという言葉を聞くと、大がかりな体制整備をイメージするかもしれません。しかし、まずやるべきことはシンプルです。
自社で利用している生成AIの規約を確認し、「何を入力してはいけないか」のルールを明確にすること。これだけでも、AIガバナンスの大きな第一歩になります。
