【書籍紹介】スマホ、サブスク、SNS、ネット銀行…「デジタル遺品」の相続対策、していますか?「デジタル遺品の探しかた しまいかた 残しかた +隠しかた」
故人の携帯電話、スマホ、サブスク、SNS、ネット銀行や証券の口座などなどの「デジタル遺品」。
数年前に親族(祖母)が亡くなったとき、相続財産の捜索をしましたが、手がかりになったのは物理的な書類、すなわち各種報告書や証書、通帳の類でした。
高齢だったこともあり、携帯電話、スマートフォン、パソコンには手を出していませんでした。したがってネット銀行、ネット証券、サブスク契約などもなし。
でも、もしこういうものがあったら大変だったなと痛切に感じました。
そもそも契約があるのかどうか、契約があることがわかったとしても、IDやパスワードを知らないと内容がわからないので。
現在、高齢の方であってもスマホを持っている方が多いですし、LINEをはじめとしたSNSの利用、ネット銀行やネット証券もメジャーになってきており、早めの対策が必要となっています。
こちらの書籍「デジタル遺品の探しかた しまいかた 残しかた +隠しかた」は、まさに私たちの疑問や不安にこたえてくれる内容です。
生前の準備、また故人のデジタル遺品の探し方やその後の対応のほか、丁寧に(?)見られたくないものの隠し方まで伝授してくれています。
もはや「自分には関係ない」と言い切れる人はごく少数でしょう。
ポイントだけこちらでご紹介したいと思いますが、ぜひ実際に書籍を読んで、イメージしてみていただきたいです。
この本でいう「デジタル遺品」とは?
この本でいう「デジタル遺品」とは下記のようなものを指します。
パソコンやスマホ上に保存された写真、アプリ等のデータ
ネット上のサービス契約
例えばサブスク、ネット銀行や証券、フリマアプリ、SNS、キャッシュレス決済サービスなど。
特に、ネット上のサービス契約は、契約主体である第三者が絡むので、どうしてもその第三者との確認(利用規約なども含む)が必要になってきます。
それだけでもなかなかの手間ですが、故人が特に何も遺族に知らせていなかった場合、何があるのかを探し出すところからはじめなければなりません。
本人が生前に行うことができる対策
ひと手間かかりますが、この対策をしておけば遺族には感謝されること間違いなしです。
何もなければ、遺族が故人のスマホやPCをさぐってイチから財産や交友関係を洗い出す必要があるので。
自身のスマホなどに見られたくないものがある場合も有効かもしれませんね。
「スマホのスペアキー」の準備、重要書類と一緒に保管
普通はあらゆる情報がスマホに格納されているため、スマホのログインパスワードの共有が有効。「スマホのスペアキー」準備で漏洩を防止しつつ共有が可能。(詳細はぜひ本書で。5分で作成できます)
契約、利用サービスは日ごろから整理しておく(わかってはいるがなかなかできないですね・・・)
「遺言」や「エンディングノート」などによる情報共有
法人での契約、アカウント作成(必要に応じて。個人の相続に比べ、承継が比較的容易であるため)
遺族が行うことができる対策
まずは故人のスマホ/PCを探る
パスワードを推測し、ログインできたらそこから写真や交友関係(SNSや電話帳)、財産関係(ネット銀行や証券など)、業務関係(スケジュールなど)を探っていきます。
(他の相続人の合意を得るなど注意点あり。詳細はぜひ本書で)
上記捜索をすすめるため、故人のスマホの解約は最後に行いましょう。様々な故人の情報が格納されています。
また遺品の捜索段階で「二段階認証」が求められることもあり、そこでスマホが必要になります。
スマホ、PCにアクセスできない場合は?
スマホ、PCにアクセスできなかった場合は、クレジットカードや通帳などでお金の流れを探る、契約書類、メモ、バックアップデータ、友人に聞く、検索などで探るなどの方法で確認せざるを得ません。
故人の遺品に対策を行う際、特に注意すべきこと
まず、「相続放棄」の可能性を考慮する
相続を放棄する可能性がある場合(故人の借金が多いなど)には、スマホやPCのデータ復旧処理や、デジタル遺品の処分、故人に代わるサービス利用により放棄ができなくなるおそれがあることに留意が必要となります。
遺品の処分や処理の形態によっては、相続の単純承認=相続放棄不可とみなされるおそれがあるためです。
「利用規約」には要注意
サービス契約には相続できる性質のものとできないものとがあります。
サービスによっては利用規約に明記されていますが、不明であれば運営元に確認する必要が出てきます。
利用料支払いを止める場合
サービス利用を止めたいとき、利用料支払いを止めることは簡単で有効ではあります。
ただ、サービス契約が残存したままだと、クレジットカードの退会ができなかったり、引き落としだけは続いたりする場合もあるそうです。
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以上、遺族とはいえ故人のスマホなどに何の前情報もなくアクセスし、必要な情報を抜き出すのは想像するだけでも大変です。
逆に、今からスマホやパソコン、サービス契約関係の情報を(漏洩しないように)共有しておけばいざというときに大幅に手間が減る、ということでもあります。
2時間ほどで読むことができる本ですので、今後のために一読をお勧めします