「夫が亡くなり、マンションの名義を私にするか子供にするか迷っている。知り合いに相談したら色々言われて、かえって混乱してしまって…」
相続登記が義務化され、3年以内に名義変更をしなければならない今、同じような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
実際このようなご相談は多いです。 今回は、夫を亡くした配偶者の立場から、相続したマンションの名義をどうすべきか、Q&A形式で整理してみます。お子さんが一人いらっしゃるケースです。

マンションの名義、どうしたらいい?【Q&A】
Q. 「相続登記が義務化された」とかで、「名義は早めに移した方がいい」と言われたんですが。
A. はい、相続登記は法律で義務化されていて、ご主人が亡くなってから3年以内に名義変更をする必要があります。
Q. 私が住むなら私の名義にした方がいいのでしょうか。知り合いは「あなたではなくお子さんの名義にした方が二度手間にならないわよ」と言っていましたけど。
A. 手続的にはどちらも可能です。
あなた名義にすれば、安心して住み続けられます。ただ、あなたが亡くなった際に再度相続手続きが必要になります(二度手間・コストも二回かかる)。
一方、お子様名義にすれば一度で済みますが、安心して住み続けるためあなたの居住権を確保しておく方がよいでしょう。
なお、相続税がかかる場合はどちらを選ぶかで税負担が変わる可能性があるため、慎重に判断する必要があります。
Q. そういえば知り合いも「でもあなたの居住権を確保しなきゃいけないわね」とも言っていました。私の居住権って何ですか?
A. あなたがマンションに住み続けるためには、法的な権利を確保しておくと安心です。
お子様名義にした場合、法律上はあなたが「他人の家」に住んでいる状態になるからです。お子様との関係がよく、家もお子様の名義のままであれば問題はないのですが、長い間に状況が変わることもあり得ます。
この「住む権利」を「配偶者居住権」といいます。
Q. 法的な権利がないと、何が問題なんですか?
A. たとえば、お子様が将来マンションを売却したくなったとき、お子様に万が一のことがあったとき、あるいはお子様のご家族の事情が変わったとき…あなたの居住が不安定になる可能性があります。
Q. なるほど…。配偶者居住権を設定すると、どうなるんですか?
A. 法律で保護され、登記もできるので、あなたが亡くなるまで安心して住み続けられます。
Q. いいことづくめですね。デメリットはないんですか?
A. 登記費用がかかります。
また、配偶者居住権はあなたが亡くなると消滅するので、あなたが売却したり誰かに相続させたりすることはできません。
もし、お子様が将来マンションを売却したくなっても配偶者居住権がある限り実質的に売却は困難です。
Q. 結局、私の名義にするのと子供の名義にするのと、どちらがいいんでしょうか?
A. それは、相続税の有無、ご家族の関係性、将来の売却予定などによって変わります。今回のケースでは、税理士や司法書士に相談して、総合的に判断することをお勧めします。
大事なのは、「選択肢を知っておくこと」です。
そして何より、お子様のお気持ちも大切です。
金銭的・手続的なことだけでなく、お子様がどう考えているかを一緒に話し合うことが最も重要です。
配偶者居住権は2020年に新設された比較的新しい制度です。
「私が住むなら私の名義」と思考停止せず、子供名義+配偶者居住権という選択肢があることを知っておくだけでも、相続の選択肢は広がります。
ただし、設定したら必ず登記を
配偶者居住権を設定しても、登記をしなければ第三者に対抗できません。
たとえば、お子様がマンションを売却してしまった場合、この登記がなければ新しい所有者に対してあなたが「私には住む権利がある」と主張できないのです。
判断のポイント
- 親子の関係性や家族の状況
- 将来、マンションを売却する可能性があるか
- 相続税がかかるかどうか(税理士に確認。かかる場合、配偶者居住権の設定で評価額が変わる可能性)
- お子様のお気持ち
これらを総合的に考える必要がありますが、まずは税理士や司法書士に相談して、それぞれの選択肢のメリット・デメリットを具体的に確認することから始めてください。
もしご自分のケースでどうすべきかお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
