お笑いコンビ「極楽とんぼ」の加藤浩次さん(56)が、2026年2月のラジオ番組でこんな話を明かしました。
ある日、北海道の弁護士から封書が届いた。開けてみると、中に家系図と文章。よく読むと、父方の親族で独身だったおばが亡くなり、その遺産を相続する権利が加藤さんに生じている、という内容だったそうです。
加藤さんの両親は離婚しており、父方の親戚とは長年疎遠に。しかもそのおばの兄弟(加藤さんの父を含む)はすでに全員亡くなっていたため、血縁をたどっていくと甥・姪にあたる加藤さんたちが相続人になっていた、ということです。

加藤さんは「そんなことってあるんですか?」と驚いていましたが、珍しくない話です。私自身にも似たようなご相談があったことがあります。
この出来事、実は二つの立場から「気をつけておきたいこと」が詰まっています。
甥・姪の立場から:知らない間に相続人になっていることがある
なぜ甥・姪が相続人になるのか
相続人になれる人の範囲は法律で決まっています。
配偶者は常に相続人になりますが、それ以外は次の順番です。
- 第1順位:子(直系卑属)
- 第2順位:親(直系尊属)
- 第3順位:兄弟姉妹
そして、兄弟姉妹が亡くなっている場合は、その子(甥・姪)が代わりに相続人になります(これを「代襲相続」といいます)。
加藤さんのケースがまさにこれです。
独身で子も親もいなかったおばの兄弟は全員亡くなってました。そのため、その子である加藤さんを含む甥・姪が相続人になりました。
「そんな人、知らなかった」では済まない
加藤さんのように、全く面識のない親族の遺産を相続することになった、という事態は実際に起こり得ます。
相続人になると、プラスの財産だけでなく借金などのマイナスの財産も引き継ぐことになります。「知らなかった」では済まないのです。
相続拒否ではなく、「相続放棄」を
加藤さんは妻と相談の上、「相続を拒否することにした」と話していました。
ただ、ここで注意したいのは、もらえる分を「拒否」=相続人ではない、とはならないということです。
仮にこのケースで他に財産があった場合には、加藤さんにはそれらを引き継ぐ権利がまだあるのです。プラスの財産ならともかく、借金の場合でも同じです。
このような事態を防ぐためには、「相続放棄」の手続きを踏む必要があります。
相続放棄をすると、最初から相続人でなかったものとみなされます。プラスもマイナスも、一切引き継ぎません。
ただし、相続放棄には期限があります。自分が相続人であることを知った日から3か月以内に、家庭裁判所に申述する必要があるのです。
この「3か月」は、あっという間に過ぎます。弁護士や司法書士から連絡が来たら、内容をよく確認し、早めに動くことが大切です。
おば(独身・子なし)の立場から:疎遠な人に財産が渡るかもしれない
「独身・子なし」は相続が複雑になりやすい
加藤さんのおばは、独身で子供もいなかったとのこと。このような場合、相続はどうなるでしょうか。
親(直系尊属)が存命であれば親が相続人になりますが、すでに亡くなっていれば兄弟姉妹が相続人になります。その兄弟姉妹も亡くなっていれば、甥・姪へ。
つまり、自分では想定していなかった遠い親族に財産が渡ってしまう可能性があるのです。
加藤さんのおばが「甥に財産を渡したい」と思っていたかどうかはわかりません。
でも、もし「長年交流のない親族に財産が渡るのは避けたい」「お世話になった人に渡したい」「社会に役立てたい」という気持ちがあったとしたら、生前であれば打つ手はありました。
だからこそ、遺言書が重要
生前に遺言書を残しておけば、自分の財産を誰にどのように渡すかを自分で決めることができます。
「財産なんて大したことない」という方もいますが、少額であっても、自分の意思を残しておくことに意味があります。
加藤さんのケースでも、おばの相続人一人あたりの相続財産は40万円程度。それでも、何十年も会っていない甥のもとまで弁護士から書類が届きました。
単純計算で400万円ほどの相続財産。もしおばが生前に遺言書で意思を明確にしておけば、希望の相手にこの金額が届いたはずです。
遺言書は「お金持ちのもの」ではありません。このようなケースでは特に作成しておくことをお勧めいたします。
相続放棄手続や遺言書、その他ご不明な点があればお気軽にご相談ください。
