一人社長・源泉徴収なしの会社の年末調整手続|e-taxとeLTAXでの必要書類の作成・提出方法

下記記事(一人社長の法人・源泉徴収なしでも年末調整は必要?確定申告との関係は?|考え方と必要な手続)の続きです。e-taxとeLTAXを使った実際の年末調整手続についての記事になります。

ご参考
一人社長の法人・源泉徴収なしでも年末調整は必要?確定申告との関係は?|考え方と必要な手続 ※この記事は税理士の監修を受けています。 11月頃、当社(社長一人の合同会社)にも税務署から「年末調整をするように」との連絡がきました。 【年末調整とは何か?確...

上記の記事にも記載しましたが、「一人社長」「源泉徴収なし」の会社が行うべき年末調整手続は下記のとおりです。(社長個人の確定申告を行う前提です

令和6年(2024年)1月22日までに提出すべき書類

所得税徴収高計算書 (税務署)

令和6年(2024年)1月31日までに提出すべき書類

 源泉徴収票 (税務署)

 給与支払報告書 (市町村)

 法定調書合計表 (税務署)

 報酬、料金、契約金および賞金の支払調書などの支払調書(税務署)

実際にe-tax, eLTAXで書類作成、提出したので、方法を以下に記載します。

目次

【e-tax】所得税徴収高計算書の作成・提出

毎月(納期特例承認を受けている場合は年2回)提出している「所得税徴収高計算書(源泉所得税納付書)」の提出のことを指していますので、いつものように作成して提出します。

※e-taxによる計算書作成・提出については下記記事をご覧ください。

ご参考
e-taxで「源泉所得税納付書」を提出する 法人は「源泉所得税納付書」(所得税徴収高計算書)を少なくとも年2回提出する必要があります。(当社は年2回) そして当社は給与を最低限に抑えているため、実際に納...

【eLTAX】「源泉徴収票」「給与支払報告書」「法定調書合計表」の作成・提出

税務署宛ての書類でもeLTAXでの作成・提出が可能(注意点あり)

前述のとおり、市町村には「給与支払報告書」、税務署には「源泉徴収票」「法定調書合計表」「報酬、料金、契約金および賞金の支払調書などの支払調書」をそれぞれ提出する必要がありますが、eLTAXで「給与支払報告書」のほか、税務署に提出すべき「源泉徴収票」「法定調書合計表」を一括作成・送信できるようです。

今回の提出もこの「一括作成・送信」をしています。

国税庁「給与・公的年金等の支払報告書及び源泉徴収票のeLTAXでの一括作成・提出(電子的提出の一元化)について」より引用

ただ、注意が必要な点があります。

それは、税務署に提出すべき報酬、料金、契約金および賞金の支払調書などの支払調書」の作成・提出機能はeLTAXにはない、という点です。

例えば税理士への報酬支払などがあれば、上記支払調書を作成して提出する必要があります。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hotei/7431.htm

なんとも中途半端な感じですが、「報酬、料金、契約金および賞金の支払調書などの支払調書」は別途e-taxで作成・提出する必要があります。このe-taxでの作成・提出についても本記事の最後に記載しました。

eLTAX提出etax提出
 源泉徴収票 (税務署)
 給与支払報告書 (市町村)
 法定調書合計表 (税務署)
報酬、料金、契約金および賞金の支払調書などの支払調書(税務署)

eLTAXでの提出準備

eLTAXにログイン

初めてeLTAXを使う場合は利用者登録等が必要です。https://www.eltax.lta.go.jp/eltax/gaiyou/flow/

PCdesk(DL版)をインストール

この手続はPCdesk(DL版)から行うので、下記手順でインストールします。

① PCdesk.zip を展開してできたフォルダーを開きます。

② 「setup」→「PCdesk」→「setup」の順にダブルクリックしてフォルダーを辿り、インストールファイルのある場所を開きます。

③ インストールファイル[LTNSetup.exe]をダブルクリックし、指示に従います。

利用者を登録して選択

利用者情報の確認・届出/e-taxのID・パスワードを登録

e-taxとの紐づけをするため、e-taxのIDとパスワードを登録します。

e-taxを使用したことがない場合は、ID・パスワードを取得する必要があります。
https://www.e-tax.nta.go.jp/hojin.html

今回の手続に必要なメニューを追加(都道府県民税・市町村民税(特別徴収))

下記の手順で、「都道府県民税・市町村民税(特別徴収)」の手続と提出先を選択し、追加します。

以上で準備が終了しました。ここから実際の書類の作成・提出手続に入っていきます。

「源泉徴収票」「給与支払報告書」「法定調書合計表」の作成・提出

下記の流れで作成・提出していきます。以下の説明もおおむね下記の流れに沿っています。

eLTAX「手続き別ガイド_給与支払報告書及び源泉徴収票電子的提出一元化」より引用

申告メニューから「申告データの作成」を選択

申告データの作成を選択し、eLTAXにログインします。

利用者情報確認

税目・申告区分選択

今回は税目:「個人住民税」、申告区分:「給与・年金支払関連」の「給与支払報告書・源泉徴収票及び合計表」を選択します。

特別徴収義務者/源泉徴収義務者情報の入力

申告データの作成方法で[手入力による作成]を選択

対象は社長一人だけのデータなので、手入力による作成を選択します。メールアドレスのテスト送信がされます。

給報・公的・源泉統一入力画面で、給与支払報告書/給与所得の源泉徴収票の申告データを作成

地方税提出先を選択し、下記フォーマットの赤枠部分を埋めていきます。注意点は下記の表のとおりです。

受給者番号任意の番号でOKです。
給与所得控除後の金額下記を参考に記入します。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1410.htm 
所得控除の額の合計額基礎控除と社会保険料等の金額の合計額を記載します。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1100.htm
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1199.htm
上記以外の各種控除保険や住宅ローンなどの控除等は別途確定申告で行う想定です。
社会保険料等の金額 社会保険料については、会社の源泉徴収票が確定申告時の証憑となるため、記入が必要となります。
記載する金額は「対象年度の社会保険料(会社負担分)」となります。
摘要欄:「年調未済」年末調整で源泉税額の精算や控除手続をしていない場合は、「年調未済」と記載せよ、との税理士からのコメントがありました。
※当社は源泉徴収なし、控除は確定申告で実施

合計表(給与所得の源泉徴収額)入力

給与所得の法定調書合計表に記載されるデータを入力します。

必須入力欄で「源泉徴収票を提出するもの:0」としていますが、「源泉徴収票の作成は必要だが、税務署への提出義務はない」ということを指しています。(源泉徴収票の税務署への提出義務についての詳細はこちら

入力・保存すると申告データが作成されます。

総括表・個人別明細書及び合計表・源泉徴収票の確認

「申告データ表示・本票」の画面で、下記申告内容が表示されますので、内容を確認します。

給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表

給与所得の源泉徴収票 ※法定調書合計表の別表

給与支払報告書(総括表)

給与支払報告書(個人別明細表) ※給与支払報告書(総括表)の別表

電子署名・送信

これまでの流れからそのまま、あるいは申告メニューから「申告データの電子署名」を選び、次の画面から申告対象を選択の上、「署名付与」をクリックします。

電子証明書(私はマイナンバーカードを使用)をPCに接続し、パスワードを入力します。

「証明書表示」画面下で「次へ」を押すと署名されます。引き続き申告データを送信可能です。

申告するデータを選択し、送信します。前述のとおりeLTAXから国税(etax)に一部書類を送信可能であるため、その旨のダイアログが表示されます。

ここでeLTAXにログインし、申告書を送信します。これで申告完了です ・・・ただ、給与所得以外の法定調書を提出する必要がある場合には、e-taxで別途その提出をする必要があります。(手続は下記参照)

【e-tax】報酬、料金、契約金および賞金の支払調書などの支払調書(税務署)の作成・提出

上記「税務署宛ての書類でもeLTAXでの作成・提出が可能(注意点あり)」でも記載した通り、この支払調書の作成・提出はeLTAXで行うことはできず、e-taxで行う必要があります。

当社は税理士報酬の支払いがありましたので、この手続を行いました。(この支払調書についての詳細はこちら

e-taxにログイン、申告書の選択

「給与所得の源泉徴収票等の法定調書(及び同合計表)の提出【提出枚数100枚以内】」を選択します。

そして、提出区分を「追加」とするのがポイントです。

※給与所得についてはeLTAXですでに法定調書を提出しているため、今回の提出は「追加」の位置づけとなる

入力

作成する支払調書を選択・作成をクリックします。今回は税理士報酬なので「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」を選択し、グレー部分を入力します。

法定調書合計表作成・入力内容の確認

一部印字された状態の合計表が出てきますので、下記を参考に内容を入力、確認します。

電子署名

入力内容に問題がなければ、以下の手順で電子署名を付与します。(私はマイナンバーカードを利用しました)

いずれかを選択

送信

電子署名済みの支払調書を送信します。これで申告完了です

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